「36(サブロク)協定」の問題点とは?

労働問題、特に労働時間の問題でよく耳にする「36協定」。サブロク協定と呼ばれます。
今月9日(2016年9月9日)、厚生労働省でこの36協定の見直しを行うための「36協定」を見直す検討会の初会合が開かれました。
この検討会、いったい何が問題になっているのかを簡単に説明します。お仕事をされている方は是非知っておいて下さいね。

36(サブロク)協定、36協定の問題点について、運送業の写真

運送業は、よく長時間労働問題がニュースなどで取り上げられています。

 

残業や休日労働は労働基準法で定められている

36協定とは労働基準法で定められており、残業や休日労働を行う際に必要な手続きを行うことを定めています。
36協定について、厚生労働省のサイトには以下のように書かれています。

労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられています。

※時間外労働協定は、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれています。

厚生労働省「労働時間・休日に関する主な制度」より

36協定で、今問題になっていること

上記の「時間外・休日労働」というのは、同様に労働基準法で定められた「法定の労働時間、休憩、休日」を超えるものについての協定です。「法定の労働時間、休憩、休日」について確認してみましょう。

  • 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
  • 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
  • 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

厚生労働省「法定の労働時間、休憩、休日」より

つまりこれを超えると、労使間で定められた時間外労働協定(36協定)に則った時間外労働になる、ということです。
労使間で定められているし、そもそもこの時間外労働は限度が設けられているので、一見問題ない協定のように思えますが、その問題点が現在指摘されているのです。

36協定の適用外の業務がある!

業務の性質上、その仕事に充てる時間が一定にしづらいと考えられる業務は、実は36協定の適用除外となってしまうのです。厚生労働省のサイトにその説明があるのですが…。

  1. 工作物の建設等の事業
  2. 自動車の運転の業務
  3. 新技術、新商品等の研究開発の業務
  4. 厚生労働省労働基準局長が指定する事業または業務(ただし、1 年間の限度時間は適用されます。)
    (具体的な指定事業または業務は、労働基準監督署にお問い合わせください。)

厚生労働省「適用除外」より

建築業や運送業、研究職などが当てはまりそうですが、なんとも曖昧としていますね。

さらに「特別条項付き協定」などというものも…

また、36協定の中には「特別条項付き協定」というものもあります。これも厚生労働省で規定されています。

臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合に、以下の例のような特別条項付き協定を結べば、限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。

(例)「一定期間における延長時間は、1か月45時間、1年360時間とする。
ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、6回を限度として1か月60時間まで、1年420時間までこれを延長することができる。
なお、延長時間が1か月45時間を超えた場合の割増賃金率は30%、 1年360時間を超えた場合の割増賃金率は35%とする。」

厚生労働省「特別条項付き協定」より

つまり「大変な時期は例外を認めるよ?」という内容のものです。でもこれも、例が示されているだけで、具体的に何が、と明示されているわけではありません。
言ってしまえば、考え方によっては様々なものを該当させることができるということになってしまうのです。

つまり「36協定」を見直す検討会は、これらの長時間労働を是正するための見直しをする検討会、ということなのですね。

労使の問題は早期の解決が重要

検討会が開かれるということは、たびたびニュースなどになる企業における長時間労働がとても大きな問題であり、また様々な社会的損失も生み出してしまうということは間違いありません。
そのようなことがないよう、労使双方にとってより良い条件で、労働問題が起きないようにするのが望ましいですね。企業側が利益を生むには、労働者の力が欠かせないのです。

また労使問題が長引くと、これまで表立ってこなかった問題が露呈したり労働者がやる気を失ったりと、良いことはひとつもありません。とにかく労使問題は早期の解決が何より重要です。

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この記事は弁護士が監修しています。

片島 均(弁護士)弁護士法人法律事務所DUON
茨城県弁護士会所属(登録番号:42010)

交通事故、相続、借金破産、離婚、刑事事件、不動産、企業法務(労働問題)など幅広い分野に対応。
代表を務める弁護士法人法律事務所DUON はほぼ全ての分野の法律問題をお取り扱いしています。全体の案件数としては、地域柄もあり「離婚事件」や「交通事故事件」「破産事件」「相続問題」等のお取り扱いが多いですが、法人・事業者様の労使問題等にも力を入れており、特に地元の中小企業の経営者様を中心にご相談いただいております。

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