特別清算

特別清算とは

特別清算手続とは、裁判所の監督を受けながら、清算人主導の下に、債権者の多数決によって清算方法を決定する自治的な精算手続です。

会社法には、通常の清算手続が定められていますが(会社法第2編第9章第1節)、特別清算手続は、通常の清算手続の一種ですので、原則として、会社法の上記規定の適用があります。

特別清算手続は、通常の清算手続とは異なり、裁判所の監督のもとで行われる厳格な手続です。

裁判所は、特別清算開始の申立てがあった場合は、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること、または、債務超過の疑いがあると認めるつきには、(会社法514条各号に掲げる場合を除いて)、特別清算開始の命令をすることになっています。

特別清算の特徴

まず、債務超過の疑いがある状態で手続を開始できますので、破産状態になる前に、手続を開始できます(破産手続開始の前に会社を清算できます)。

また、破産手続と異なって、簡易迅速な手続といえます。なお、破産手続の対象は、個人や学校法人等の対象を問いませんが、特別清算手続を利用できるのは、株式会社のみとなっています。

当然のことながら、破産手続、会社更生手続、民事再生注の会社は、特別清算手続を開始することはできません。

前述のとおり、債権者の多数決によって清算方法を決定する自治的な清算手続ですので、大口債権者の協力が得られない場合は、特別清算手続を利用することができません

具体的には、債権者集会において①出席した議決権者の過半数の同意と②議決権者の議決権の総額の3分の2以上の議決権を有する者の同意の両方を必要とします(会社法567条1項)。

特別清算のいいところ

まず、予納金といって裁判所に納める費用が、破産手続と比べて低額ですみます。破産と比べて、「倒産」のイメージが薄いというメリットもあります。

破産手続においては、会社の財産は、裁判所が選任した破産管財人に専属することになりますので(破産法第78条1項)、経営陣は清算事務に関与することはできません。

これに対し、特別清算手続においては、清算人が、特別清算手続開始後も清算事務を行うことができます。

また、破産手続においては、労働債権のうつ財団債権として認められない部分は、配当手続によらなければ弁済ができませんが、特別清算手続であれば、手続外で弁済が許されるので(会社法515条3項参照)、裁判所の許可は必要なく、随時労働者に対し、給料等の弁済を行うことも可能です(但し、例外あり(会社法500条1項、2項)。

配当手続も、裁判所の許可を得る必要はなく、協定や個別に弁済額を合意する(和解)こと、債権額の割合に応じて弁済することの3種類の方法を利用できます。

債権者にとっては、協定等によって債権の放棄等を行った部分については、税務上、損金の算入が認められるというメリットがあります。

ページの先頭へ
menu
支店一覧

新規相談予約センター

毎日24時まで電話でご予約できます。
Tel.0120-074-019