離婚と費用

離婚するには,どれくらいの費用がかかるのだろうか?
裁判所の手続を行うには,どれくらい費用がかかるのだろうか?
疑問に思っていらっしゃる方も多いと思います。
今回は,離婚に伴って発生する費用について,見ていきたいと思います。

離婚と費用

離婚に伴って発生するお金

離婚に伴って発生する可能性のあるお金は,以下のとおりです。

1 養育費

お子さん(未成熟子)がいらっしゃる場合,そのお子さんが経済的に独立して生活できるようになるまで,養育費が必要になります。

2 財産分与

夫婦の協力によって形成・維持された財産(共有財産)を,離婚にあたって清算するのが財産分与です。夫婦関係が破たんした時点で共有財産がある場合には,これを分けるためにお金や財産が移動することになります。

3 慰謝料

一方配偶者の有責な行為によって離婚に至った場合,有責な行為をした方は,慰謝料を支払わなければならないことがあります。

4 年金分割

一方の配偶者が結婚期間中に支払った保険料の納付記録を分割することで,もう一方の配偶者が,離婚後に年金を受け取れるようにするという制度です。
なお,年金分割は,将来年金が受給できるという話であり,離婚に伴って直接お金の動きが発生するわけではありません。

5 婚姻費用

婚姻費用とは,結婚している夫婦とその間の子どもの生活費のことです。
特に,離婚を前提に別居しているような場合には,収入の低い方から多い方に,婚姻費用の支払の請求がなされるケースが多く見られます。婚姻費用は,離婚が成立するまでの間,支払わなければなりません。

6 弁護士費用など

弁護士,行政書士などに依頼する場合や探偵に依頼して証拠を集める場合には,その費用がかかります。
費用は各弁護士,行政書士,探偵事務所などによっても異なるほか,業務時間,どれだけのお金が動くかなどによってケースバイケースです。

7 その他の費用

1~6の他にも,離婚に伴って生じるお金には様々なものがあります。
離婚協議書を公正証書で作成する場合には,作成のための手数料がかかります。
裁判所の手続を利用する場合には,その手続のための手数料などがかかります。
以下では,この点について具体的に見てみましょう。

公正証書の手数料

離婚協議書は,必ず作成しなければならないものではありませんし,必ず公正証書にしなければならないものでもありません。
ただ,養育費,財産分与,慰謝料といった条件を話し合いで決めた場合であっても,後々,話を蒸し返されてしまったり,支払が滞ってしまうことがあります。このように,せっかく苦労して合意に至った条件をなかったことにされないためにも,離婚協議書を作成しておくことが望ましいでしょう。また,支払が滞った場合の強制執行に備えて,一歩進んで公正証書の形にしておくのがベストです。
公正証書を作成する場合,公証役場で,証書作成のための手数料を支払わなければなりません。
手数料は,目的価額(その行為によって得られる一方の利益,不利益を金銭で評価したもの)によって決まり,概ね,以下のとおりになっています。

100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超える場合 省略

その他,証書の枚数によって手数料が加算される場合もあります。

裁判所の手数料

当事者間の話し合いで離婚が成立しない場合には,裁判所の手続を利用して離婚を試みることになります。
裁判所の手続には,(1)離婚調停と(2)離婚訴訟とがあります。なお,離婚自体について合意が成立していても,養育費や財産分与といった離婚条件について合意が成立しない場合,審判という手続になることもあります。

(1)離婚調停

離婚調停を申し立てる場合,手数料として1200円の収入印紙を納める必要があります。
その他,裁判所からの書面を送るのに必要となる郵便切手(各裁判所によって異なりますが,概ね数百円~数千円程度です。)を納める必要があります。
なお,離婚調停の他に婚姻費用の調停を申し立てる場合,やはり,手数料として1200円の収入印紙を納める必要があります。

(2)離婚訴訟

離婚訴訟を提起する場合にも,裁判所に手数料を納める必要がありますが,この手数料(印紙代)は,何を求めるか,いくら請求するかによって異なります。
訴訟の場合,印紙代は,訴額(主張する利益についての金銭的な価値のことです。)に応じて決まってくるのです。
また,調停の場合と同様,手数料の他に郵便切手が必要となります(裁判所によって異なりますが,6000円前後が多くなっているようです。)。

離婚のみを求める場合

離婚自体は非財産上の請求であって,金銭的に算定することができません。このような場合,訴額は160万円と決められています。
そして,訴額160万円の場合に必要な手数料は13000円ですから,離婚のみを求める場合に必要な手数料は13000円です。

離婚とともに慰謝料を求める場合

例えば,相手方の浮気が原因で離婚する場合,離婚とともに慰謝料を求めることができます。
離婚とともに慰謝料300万円を請求するとしましょう。
慰謝料に関しては,金額で表すことができるので,先ほどの離婚自体と異なり,慰謝料の金額が訴額となります。
訴額300万円の場合の印紙代は,20000円です。

離婚自体の印紙代13000円との関係は・・・というと,慰謝料の金額と離婚の訴額を比べ,多い方の訴額の手数料によることになります。

上記ケースでは,慰謝料の金額が300万円,離婚自体の訴額が160万円となり,慰謝料の金額の方が大きいですから,慰謝料の印紙代(20000円)のみが必要ということになります。

離婚とともに親権,養育費,財産分与,年金分割を求める場合

【親権】

離婚した場合,当然に親権者が定められることになります。
そのため,親権者を指定してもらうにあたり,手数料は必要ありません。

【養育費】

養育費を求める場合,子ども一人につき,1200円の印紙代が必要になります。

【財産分与】

財産分与を求める場合,1200円の印紙代が必要になります。
注意してほしいのは,財産の金額にかかわらず一律1200円ということです。

【年金分割】

年金分割を求める場合,1200円の印紙代が必要になります。

この記事は弁護士が監修しています。

片島 均(弁護士)弁護士法人法律事務所DUON
茨城県弁護士会所属(登録番号:42010)

交通事故、相続、借金破産、離婚、刑事事件、不動産、企業法務(労働問題)など幅広い分野に対応。
代表を務める弁護士法人法律事務所DUON はほぼ全ての分野の法律問題をお取り扱いしています。全体の案件数としては、地域柄もあり「離婚事件」や「交通事故事件」「破産事件」「相続問題」等のお取り扱いが多いですが、法人・事業者様の労使問題等にも力を入れており、特に地元の中小企業の経営者様を中心にご相談いただいております。

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