離婚届を勝手に出されてしまったら?
「離婚届を勝手に出されてしまった!」ということがあります。
この場合は離婚が成立するのか、そして勝手に出すと罪になるのでしょうか。また防止の方法はあるのかなどについて説明します。
勝手に出されてしまって後から気づくことが多いです。
勝手に出されても受理されてしまう
離婚届自体は、署名、捺印をして市区町村の役場に提出するだけです。別に印鑑を照合することも、署名の筆記を確認するわけでもありませんので、ほぼそのまま受理されます。
どういった時にこういう問題が起きるかというとやはり、一方が離婚したいが一方が離婚したくない場合、また離婚問題で揉めていてなかなか決着がつかない場合などで、大きく分けて二つのケースがあります。
第三者が署名してしまうケース
離婚の合意がないままに気が焦り、本人ではない第三者に署名させて、離婚届を提出。
離婚された側は後からそれを知って呆然、放心状態でご相談に来られる方もいらっしゃいます。この場合は「浮気相手」がいる、ということがあります。
離婚届に署名していたケース
また、時々あるのが、喧嘩した時に勢いで書いてしまった離婚届を使うパターン。「次喧嘩したら離婚ね!」などと言って署名してその後は仲直り、しかし離婚届をどこかに保管しておいているご夫婦もいらっしゃいます。
その時の問題は解決したものの、その後別な問題で一方が離婚したくなり、「そういえば署名したのがあったな」と提出してしまうこともあるのです。
※ですので、安易に離婚届に署名することは絶対に避けましょう!
勝手に出した離婚届は無効
「合意なく勝手に出された離婚届は有効なのか?」については、婚姻の無効を定めた民法742条
(婚姻の無効)
婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
が適用(類推適用)され,離婚そのものが無効となります。
勝手に離婚届を出すと犯罪になる
離婚はあくまで「双方の合意のもと」に成立するものなので、上記のいずれのケースも犯罪になります。
- 公正証書原本不実記録罪
- 有印私文書偽造罪
などが該当する可能性があり、悪質だと見なされた場合は刑事罰を科される場合もあります。
勝手に出されたことが発覚したら?
離婚届を勝手に出されたことがわかったら、家庭裁判所で調停、または訴訟の申し立てをする必要があります。
この際に相手側が、合意のない提出をしたことを認めてくれれば良いのですが、「いやお互いに合意したから署名したのだ」などと主張されると、無効とするには困難になってきます。
その際は「勝手に離婚届を提出された」ことの証明、そして自身には離婚の意思がないということを証明する必要があります。
これには証人の証言や物証などが必要となってきますが、通常なかなかそこまで考えておくことはないので、証明できず、また相手との関係も一層こじれて、結果的に離婚…ということも少なくありません。
離婚届不受理申出書を提出しておこう
こういったことを避けるために「離婚届不受理申出書」というものがあります。これは市区町村の役場に書式がありますので、不安な方は入手して提出しておきましょう。印鑑と本人確認ができる書類があれば大丈夫です。
これは原則として本籍地、もしくは現在のお住まいの地方自治体に申し出をし、これが受理されると住民票のある現住所に通知書が送られてきます。
離婚届不受理申出書は受理されたらずっと効力があるものではなく、有効期間は最大で6ヶ月。その後は更新することが可能です。
勝手に出されたらできれば専門家に相談を
思ってもみないようなトラブルかと思いきや、意外に少なくないこの問題。しかも、上記にあるように訴訟になっても結果的に離婚で泣き寝入り、という話も聞きます。
合意のない離婚はしたくないし、もしせざるを得なくなってしまっても、将来の経済的な不安を少しでも解消できるように、金銭的な補償も十分に考えておくべきです。
またご自身で無効とするための証拠集めや訴訟の準備などをするのは本当に大変なことなので、法律の専門家に相談することも頭に入れておくと良いかと思います。
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