縁を切った子どもに相続させたくない!

「顔も見たくない!」「縁を切った!」「親子関係断絶だ!」

悲しいことですが、親子関係が修復できないほど関係がこじれてしまうケースはいつの時代にも存在します。
親として「子どもに遺産を遺したくない」と相談に来られることもしばしばあります。

修復できない親子の相続問題を解決する法的な方法は、存在します。以下で「縁を切った子どもに相続させない方法」を弁護士が解説します。

1.法的に親子の縁を切るのは難しい

時々「親子の縁は切れますか?」という質問をいただきますが、結論から言うと、現在の法律上、実の親子関係を消滅させるのは困難です。子どもが小さい頃に「特別養子縁組」をすると実親との関係がなくなり戸籍も書き換わるので「縁を切る」のと近い状態になりますが、それでも実親子関係が復活する可能性があります。

大人になってから完全に縁を切る方法はありません。

なお血のつながっていない親子の場合、DNA鑑定などによって「本当は親子でないこと」を証明できれば、親子関係を消滅させられる可能性はあります。そういった極めて例外的なケース以外では「親子の縁を切るのは難しい」と理解しましょう。

2.遺言書を作成する

「縁を切る」方法は存在しなくても、仲の悪い子どもに「相続させない」だけなら対応は可能です。
遺言書を作成して、関係の悪化した子どもへ遺産を相続させない内容にすれば良いのです。
たとえば長男との関係が悪化しているなら「次男へすべての遺産を相続させる」と書きましょう。そうすれば次男がすべての遺産を相続し、長男には何も渡さずに済みます。

一人っ子で他に相続人がいない場合には、法人や慈善団体などに「寄付」すると良いでしょう。たとえばUNICEFや奨学金事業を行っている財団法人、動物愛護団体など、ご希望に応じてさまざまな寄付先が考えられます。また「孫」「甥姪」「お世話になった人」などの第三者へ遺贈する方法もあります。

3.子どもには遺留分が認められる

ただし子どもには「遺留分」が認められるので注意が必要です。
遺留分とは「兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合」です。子どもには遺留分があるので、「遺産を一切渡さない」内容の遺言書を作成しても、その子どもには「遺留分相当額」のお金を受け取る権利が認められます。

たとえば「次男にすべての遺産を相続させる」と遺言しても、長男はあなたの死後に次男に対し「遺留分侵害額請求」を行い、侵害された分のお金を取り戻せるのです。そうなったら次男と長男の間で金銭トラブルが発生してしまい、次男に負担をかけてしまうでしょう。

4.遺留分の放棄について

遺留分は相続人の権利ですので、本人が望めば放棄できます。ただし被相続人の生前に放棄するには「家庭裁判所の許可」が必要です。
生前には被相続人から不当な圧力が加わるおそれがあるので、家庭裁判所が慎重に判断しなければならないと考えられているからです。

また生前の遺留分放棄が認められるには、放棄者へ相当な対価を渡す必要があります。たとえば遺留分に相当するお金や不動産を贈与すれば、放棄が認められやすくなります。以前に長男の借金を肩代わりしてあげた経緯などがあれば、生前の遺留分放棄が認められやすくなるでしょう。

一切金銭的な補償をせず、単純に「仲が悪いから相続させたくない」というだけでは遺留分放棄は認められません。

5.相続人の廃除

どうしても相続させたくない子どもがいる場合「相続人の廃除」が認められれば相続させずに済みます。相続人の廃除とは、非行のある相続人から相続権を奪う手続きです。

  • 相続人が被相続人に暴行を振るった場合
  • 著しい侮辱をした場合
  • 多大な迷惑をかけ続けた場合

上記のような事情があれば、家庭裁判所へ「相続人の廃除」の申立をして、認められれば子どもから相続権を奪えます。ただし廃除が認められるには、子どもが相当大きな非行を行った経緯が必要ですし、その事実を証明しなければなりません。
「単に仲が悪い」だけで廃除が認められないので注意しましょう。

民法892条(推定相続人の廃除)

遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

6.話し合いで解決できる可能性も

親御さんがお子さんと絶縁し、遺産を渡したくない!と考えるのは、遺産の問題なのでしょうか?
実は「嫌な出来事を忘れたい」「子どもを認めたくない」「顔を見たくない」など感情的な部分が大きいケースも多々あります。

遺言書を書く前に一度会って話をすれば解決できる可能性があるので、一度考えてみてください。

7.遺言書を作成する際の注意点

縁を切りたい子どもに遺産を遺さないためには、相続人の廃除が認められない限り遺言書の作成が必要です。確かに子どもに遺留分は認められますが、遺言をせず「法定相続分」がまるまる相続されるのと比べれば、遺言書を書く意味は充分にあります。
また子どもが「遺留分侵害額請求」をしない可能性もあるので、やはり遺言書は作成しましょう。

遺言執行者を指定しましょう

特定の子どもに遺産を相続させたくないご事情があるなら、「遺言執行者」をつけるようお勧めします。遺言執行者とは、遺言内容を実現する人です。
専門家が遺言執行者になっていたら、専門家が遺言に書かれた通りに財産の分配作業を進めます。弁護士が指定されていれば、遺言によって相続できなくなった子どもも感情的になりにくいので、遺留分トラブルが発生しにくくなるでしょう。

また第三者団体に寄付する場合などには、相続人が必要な作業をしてくれない可能性があり、やはり遺言執行者が必要です。

当事務所では遺産相続案件への支援に積極的に取り組んでいます。「親子の縁を切りたい」等相続関係でお悩みなら、是非とも一度ご相談ください。

この記事は弁護士が監修しています。

片島 均(弁護士)弁護士法人法律事務所DUON
茨城県弁護士会所属(登録番号:42010)

交通事故、相続、借金破産、離婚、刑事事件、不動産、企業法務(労働問題)など幅広い分野に対応。
代表を務める弁護士法人法律事務所DUON はほぼ全ての分野の法律問題をお取り扱いしています。全体の案件数としては、地域柄もあり「離婚事件」や「交通事故事件」「破産事件」「相続問題」等のお取り扱いが多いですが、法人・事業者様の労使問題等にも力を入れており、特に地元の中小企業の経営者様を中心にご相談いただいております。

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