借金を滞納して裁判所から通知(訴状)が届いた方へ

借金を滞納したまま放置していると、債権者から裁判を起こされて「訴状」が届くケースも少なくありません。
もしも裁判所から訴状や答弁書催告状などの書類が届いたら、すぐに適切な対応をとるべきです。放置していると判決が出て高額な支払い命令が出たり差し押さえを受けたりしてしまうリスクが発生します。

今回は借金問題で裁判所から訴状が届いた場合の対処方法をお伝えします。
借金を滞納してしまった方はぜひ参考にしてみてください。

1.訴状を無視してはいけない

裁判所から訴状が届いたら、債権者から訴訟を起こされたことを意味します。
この場合の訴訟は「貸金返還訴訟」です。
つまり債務者が約束とおりに支払いをしないので、債権者が裁判を起こして取り立てをしようとしている状況です。

訴状を無視していると、原告(訴えた貸金業者)の主張が全面的に認められて、高額な支払い命令が出る可能性が濃厚となります。

裁判所からの書類を受け取ったら、決して無視してはなりません。

1-1.裁判所からの書類に含まれるもの

裁判所から書類が届いた場合、以下のようなものが同封されているのが一般的です。

  • 訴状

原告の被告に対する請求内容をまとめた書面です。請求額や請求の理由(お金を貸したのに払わない)などが記載されています。

  • 証拠書類

現在までの入金歴や借り入れの申込書、契約書などの証拠書類の写しがついているケースもよくあります。

  • 第一回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状

第一回目の口頭弁論期日を行う日時や場所が書かれています。日付や時刻を必ずチェックしましょう。
答弁書催告状とは、相手に反論するための「答弁書」を提出するよう求める文書です。相手の言い分を認めないなら答弁書を作成して提出しなければなりません。

  • 答弁書の用紙

答弁書を作成するための用紙が入っている場合もあります。

1-2.答弁書とは

答弁書とは、訴えられた被告側の反論をまとめた書面です。
第一回期日までに答弁書を提出せず期日にも出頭しない場合、相手の言い分を全面的に認めた扱いとなり、相手の主張に沿った判決が出てしまいます。具体的には「遅延損害金を含めて借金残高を一括で払うように」と命じられるでしょう。

判決が出ると、債権者は「差し押さえ」ができる状態になります。いつ給料や預貯金などを差し押さえられるかわからない不安定な状況になるので、判決をとられるのはなるべく避けるべきです。

訴状を受け取ったら必ず期日までに答弁書を作成して裁判所へ事前に提出しましょう。

2.裁判所からの書類は「特別送達」

裁判所から訴状などの書類が届く郵便は「特別送達」という種類です。
特別送達とは、裁判所が書類を送るときに利用する専用の郵便で、ポスト投函ではなく手渡し式になります。封筒に「特別送達」と書いてあるのですぐにわかります。

不在の場合には受け取れないので、すぐに郵便局へ連絡して再配達を依頼するか、郵便局へ受け取りに行きましょう。

3.裁判の流れ

裁判を起こされると、以下のような流れで進行します。

STEP1 答弁書を提出する

まずは答弁書を作成して提出しましょう。
証拠書類もつけられます。

STEP2 第一回口頭弁論

第一回目の口頭弁論期日では、原告と被告が提出した書面を確認します。
裁判官の勧告で和解の話し合いが行われるケースもよくあります。

STEP3 弁論準備期日

二回目以降の期日は弁論準備になるケースが多数です。弁論準備とは、書面を提出し合って争点や証拠を整理していく手続きです。

STEP4 尋問

争点や証拠の整理が終わったら必要に応じて尋問を行う可能性があります。

STEP5 判決

すべての主張や証拠が出揃ったら最終的に判決がくだされます。

和解するケースも多い

貸金返還請求訴訟では、裁判官の調整によって和解できるケースが多数です。
特に弁護士が代理人になっている場合、支払い可能な範囲で分割払いの和解が成立する可能性が高いと考えてください。

判決になると遅延損害金と残債の一括払いになるので支払えない方が多いでしょう。和解なら分割払いできますし、支払いを継続している限りは差し押さえを受けないメリットもあります。

4.借金トラブルで訴状が届いたときの対処方法

借金を返せなくなって裁判所から訴状が届いたら、以下のように対応してください。

4-1.裁判所や期日を確認する

まずは裁判所からの連絡書や第一回口頭弁論期日呼出状などをみて、以下の事項をチェックしましょう。

・どこの裁判所で裁判を起こされたのか

裁判所からの書類には「○○地方裁判所(簡易裁判所)」と書いてあります。どの裁判所で訴訟を起こされたのか、どこの場所にあるのか、アクセス方法なども確認しましょう。

・担当部署や連絡先

裁判にはそれぞれの担当部署があります。何かあればそちらの部署へ連絡しなければなりません。裁判所からの連絡書に担当部署名や電話番号などが書いてあるので、必ずチェックしましょう。

・第一回口頭弁論期日が開かれる日時と法廷(場所)

弁護士に裁判を依頼しない場合、基本的には第一回口頭弁論期日に出頭しなければなりません。どこの裁判所のどの法廷で審理が行われるのか、時刻も合わせて確認しましょう。
当日は予定を空けておき、遅れないように早めに出頭してください。

・答弁書の提出期限

答弁書には提出期限がもうけられています。期日の1週間程度より前に期限設定されているケースが多いので、遅れないように作成・提出しなければなりません。

ただ遅れても受け付けてもらえる場合がほとんどです。どうしても間に合わなかった場合には、裁判所へ連絡を入れて、期限後であっても早めに提出しましょう。

4-2.訴状の内容を確認する

次に訴状の内容を確認する必要があります。
訴状を見るときには、以下の事項を確認してください。

・債権者名

どの借入先が裁判を起こしてきたのかをチェックしましょう。
誰が相手かわからないと、適切に反論できません。
また、もともとの借入先が訴訟を起こしているとは限りません。
債権回収会社に債権譲渡されたら債権回収会社、カードローンが代位弁済されると代位弁済した消費者金融や信販会社が訴訟を起こしてくる可能性があります。

・請求額

いくら請求されたのかも確認すべきです。訴訟を起こされる場合、残債とすでに発生している遅延損害金の両方を請求される例が多数です。どの程度の遅延損害金が付加されているのか、合計額がいくらになっているのかチェックしましょう。

・請求内容や請求理由

訴状には具体的な請求内容や理由が書いてあります。相手がどういった主張をしているのか確認しましょう。

・間違っているところがないか

原告の主張内容は必ずしも正しいとは限りません。間違っているところがないか、チェックすべきです。誤りがある場合や反論の余地がある場合、答弁書にその内容を盛り込まねばなりません。

4-3.答弁書を作成する

相手に反論するための答弁書を作成しましょう。
第一回目の口頭弁論期日までに答弁書を提出すると、第一回口頭弁論期日には出頭しなくても「答弁書を陳述した扱い」にしてもらえます。
ただし裁判所が近くて当日の予定を空けられそうなら、基本的には出頭するようおすすめします。当日、和解の話が出る可能性などもあるためです。
なお弁護士に依頼すれば出頭する必要はありません。

答弁書には相手の言い分の間違っている部分やこちらの具体的な反論内容を記載しますが、法的な観点からまとめなければなりません。法律論と無関係な主張をしても認められないので、注意が必要です。知らず知らずの間に自社に不利な内容を書いてしまう方もおられます。
自社に有利になるような答弁書を作成するには、弁護士に依頼しましょう。

4-4.証拠を用意する

もしも訴訟に関連しそうな証拠物があれば、用意しましょう。答弁書と一緒に提出できます。
ただ証拠は後からでも提出できます。

4-5.答弁書を提出する

答弁書ができあがったら早めに提出しましょう。
裁判所からは答弁書の提出期限が定められるので、必ず期限内に間に合うようにすべきです。
提出方法は郵送またはFAX、持参となります。郵送すると時間がかかるので、ぎりぎりになりそうなら持参するかFAX送信しましょう。
FAX番号は裁判所から届いた一式書類に書いてあります。

5.裁判を弁護士に依頼するメリット

借金トラブルで債権者から訴訟を起こされたら、早めに弁護士へ相談しましょう。
弁護士であれば、事案を分析して最適な答弁書を作成し、裁判所へ提出できますし、法的知識も豊富なので、依頼者が最大限に有利になるよう手続きを進められます。

また弁護士に依頼すると、ご本人は裁判所へ出頭する必要がありません。時間や労力を節約できるメリットも大きいでしょう。

さらに借金の裁判では途中で和解して終了するケースも多いのですが、弁護士に依頼するとスムーズに和解の話し合いを進めやすくなるものです。一括払いを避けて分割払いさせてもらい、現実的な解決を目指すためにも弁護士によるサポートを受けましょう。

6.裁判を起こされても債務整理できる

借金を滞納して訴訟を起こされると「もう判決や取り立てを受けるしかない」と思い詰めてしまう方も少なくありません。

実際には裁判を起こされた後でも債務整理できます。
債務整理をすると、借金を減額・免除してもらえるので払えなくなっている方でも状況を解決できます。差し押さえを受けるリスクもなくなりますし、すでに給与差押を受けていても停止や中止させることが可能です。

裁判を起こされたら、早めに弁護士に相談して債務整理に着手してもらいましょう。

当事務所では茨城県にて借金問題の解決に積極的に取り組んでいます。裁判所から訴状などの書類が届いてお悩みの方がおられましたら、お早めにご相談ください。

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