正しい解雇の方法 第1回目

勤怠状況や勤務態度が悪いなどの、いわゆる「問題社員(従業員)」は多くの会社が持て余しており、企業経営に混乱を来す場合は「解雇したい」と考えるのも仕方ない場合もあります。
従業員は法的に保護されていますので、雇用主だけの判断での解雇はできません。しかし一定の条件を見たいている場合には解雇できるものとされており、安全な解雇を行うことが可能なケースもあります。
雇用主の立場に立って、今後全5回を通じて、安全な解雇を行うための方法について解説する予定です。

正しい解雇の方法1

一方的な解雇はリスクだらけ。合意退職を目指そう

過去の裁判例は、解雇には合理的な理由を求める等解雇事由をかなり限定しています。したがって「横領を行った」等の懲戒処分に該当するようなよほどのことがない限り、解雇にはリスクがつきものです。
「クビだ!」などと言って感情的になって解雇することは絶対にNGです。裁判を起こされた場合には敗訴してしまい、解雇から裁判が終わるまでの給料を全額払わなければならない可能性があります。
ですので、まずは話し合いで解決できないか検討しましょう。雇用者との間で合意退職が成立すれば、原則として後で賃金を要求される等のリスクはありません
そして合意退職を求める方法は単に社員に対し「辞めてくれないか?」と頼むだけではありません。DUONにご相談いただければ個々のケースに応じて、有効なやり方をアドバイスできます。

解雇の3つの種類をおさえておこう

解雇には3つの種類があり、解雇の種類によって解雇が有効になるための要件も異なります。解雇を検討する場合はどの解雇を行うかを予め抑えておきましょう。

1「普通解雇」

普通解雇は、通常は就業規則の普通解雇規定に基づいて解雇します。したがって解雇通知書に、就業規則のどの条文に該当するのか明示するのが原則です。
条文に該当することを前提にさらに合理的な理由があり、かつ「社会的に相当な解雇」でなければなりません。

2「懲戒解雇」

次に、懲戒解雇です。これも、通常は就業規則の懲戒解雇規定に基づいて解雇することになります。解雇通知書における就業規則の条文の明示が必要なことも普通解雇と同じです。

3「整理解雇」

会社の事業が苦しくなってきた場合に社員にやめてもらう、いわゆる「リストラ」です。基本的には社員に落ち度はないですが、裁判例では、4つの要件を満たせば解雇が有効になるとされています。(4つの要件については、後述する予定です)
解雇する前にまず、上記の3つの解雇のどれに該当するのかということを確認しましょう。

解雇予告手当の計算方法

いよいよ解雇となった場合、(1)30日前に解雇を予告するか(2)解雇予告手当を支払って即日解雇するかのどちらかの手続が必要です。

  1. 30日前に解雇を予告する場合

    解雇予告を選択した場合は、解雇予告で予告した解雇の日までは従業員です。
    したがって、給与も支払わなければなりませんし、特に措置を講じなければその社員は通常どおり出社義務がありますので、会社に出社して業務を行うことになります。
    しかし、解雇した従業員が会社に出社させずに解雇予告とともに「自宅待機命令」を出して、出社させないのが通常です。

  2. 解雇予告手当を支払って即日解雇する場合

    解雇予告手当は、少なくとも30日分の賃金を支払う必要があります。30日分の賃金は以下のように計算します。

    • 月給制の計算方法
      直近3ヶ月に支払われた給与額を合計し、これを暦日で除した金額に、30日(以上)をかけて1ヶ月分の賃金とします。これが解雇手当で支払わなければならない金額になります(ボーナスは含まれません)。
    • 時給制の計算方法
      「上記月給制の平均賃金の計算方法によった場合」または「3ヶ月の賃金総額を総労働日数で割った金額の60%」の、どちらかの多い方の金額になります。

(弁護士片島均:プロフィール
正しい解雇の方法 第2回目に続く)

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この記事は弁護士が監修しています。

片島 均(弁護士)弁護士法人法律事務所DUON
茨城県弁護士会所属(登録番号:42010)

交通事故、相続、借金破産、離婚、刑事事件、不動産、企業法務(労働問題)など幅広い分野に対応。
代表を務める弁護士法人法律事務所DUON はほぼ全ての分野の法律問題をお取り扱いしています。全体の案件数としては、地域柄もあり「離婚事件」や「交通事故事件」「破産事件」「相続問題」等のお取り扱いが多いですが、法人・事業者様の労使問題等にも力を入れており、特に地元の中小企業の経営者様を中心にご相談いただいております。

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