企業が従業員に研修などを受けさせるときに気をつけること
企業が従業員のスキルアップのために研修を行ったり、資格取得のために外部機関の講習に参加してもらったりということがありますね。
場合によっては研修が就業時間以降であったり、講習が土日だったりなどということもあります。
こういった際に気をつけたいことをまとめました。
実際の講習など以外に、そのために自宅での勉強をする場合なども、どのように扱うかは難しい問題です。
企業が強制的に受けさせる場合
労働時間外の場合は時間外労働として扱う
企業側が強制的に研修を受けさせる場合は、原則として、研修に要する時間は労働時間となります。
ですので勤務時間内はもちろんですが、勤務時間外、例えば土日などに行われる場合は時間外労働として割増賃金を支払わなければならない可能性があります。
費用は当然企業負担です
また、労働行為ですので、講習などに費用がかかる場合は、原則として、企業側が負担しなければなりません。
それにかかる交通費も同様です。
強制ではなく自由に受ける場合
労働時間外で当然問題ない
研修を受けるかどうかは自由、ただしその研修を受けることによる資格取得で仕事上便利ですよ、などといったケースもあります。
また、その場合は企業側が一部費用を負担するといったような場合もある、いわば「強制ではないけど会社がお勧めする研修・講習」などはもちろん自由意志に基づくものですので、原則として、労働時間外に受講した場合に企業側は賃金を支払う必要はありません。
自由意志だが問題がある場合
ここで問題になってくるのが、自由意志で講習を受けて取得した資格が、その企業の待遇において大きな違いをもたらしたり、資格がないと業務上不利となってしまう場合です。
例えば、特定の資格がないと賃金が上がらないと言った場合は、自分の時間を利用して自費で取得せざるを得ない状況になることもあります。
そうなると、業務上の命令だとみなされ、労働時間としてカウントされ、よって賃金の支払いが発生する可能性があります。
その他、よくあるケース
資格取得などの他にも
- 家で○○の本を読んで感想文を出すこと
- 家で○○の企画を立てて明日の朝提出すること
などの指示をするといったことは少なくありませんが、これらが本来業務命令であれば労働として賃金が発生すべきことですので、十分に注意しましょう。
様々な例があるので線引きが難しい
このように、企業側は「一部費用を負担してるんだから賃金は必要ない」と思っていても本来は必要だったり、また逆に「土日なんだから受ける必要はない!」と従業員が考えたりしても実は逆である場合もあります。
お互いに疑問を持った場合は、労使間でよく話し合うことが大切です。
そして、法や過去の判例と照らし合わせて初めて判明することもありますので、労使間で対立した場合は法律の専門家に相談するのが一番でしょう。
弁護士法人法律事務所DUONは、茨城県全域で様々な労働問題を解決して参りました。初回相談料は無料ですので、ぜひご相談ください。企業法務の顧問も行っております。